不動産仲介業の最も非効率な部分は、売り手側・買い手側に限らず、「集客」(最近風に言うならばlead generation)にあるようです。
逆に言うと、ある程度検討内容が決まっている方同士を「仲介」するのはコストがそこまで掛からないのかもしれません。realtor.comがlead qualificationをするopcityを買収したときのその買収の背景に関するブログの下記のようなコスト構造の図も参考になります。
lead qualificationのような産業の発展も重要なのでしょうが、不動産仲介業界が良質なlead generationを生み出していくには、そうした検討内容が決まった人を作っていく必要があり、そのためには事前に多角的に検討できるような良質なデータが必要なのだと思います。
どちらかというと、日本の不動産業は「重要事項説明」レベルの情報でさえ可能な限り後に開示して、事前の検討を嫌う傾向がある気がしますが、それは不思議に感じます。
もし「集客」コストが下がった場合は、他のことにコストを注げて、それが付加価値になる気もします。
たまたま保存していたtweetですが、このような提案がもっと増えても良いと思います。
巡りあえた大手仲介さんも皆売りませんか?買いたい方がいます、とかの謳い文句のみ。家族が大きくなって広いところに行こうかなと迷ってる人にトータルで提案するサービスが無いし、買う、売るが分離してる業界。
— 石橋叩いてマンション買う男 (@masion_isibasi) 2020年12月1日
もっと積極的に様々な提案をして潜在ニーズを突き動かしてる会社はいないかな
不動産仲介業が手数料額にどこまでこだわっているのかも考える必要があり、実際に豊富なデータが開示されているアメリカの研究(『ヤバイ経済学』の著者)」では、不動産仲介業者が自分の家と同じような他人の家を売るときには、価格に差があるようです。他人の家を売るときは、価格にこだわるよりも速く売る方がインセンティブが強い可能性が指摘されています。
https://financialpost.com/real-estate/the-realtor-client-dilemma
SNSやYouTube時代の不動産市場で、placeof の世界観のように「潜在的な買い手」と「潜在的な売り手」のマッチングが上手くいくならば、そのまま直取引するケースもあるでしょうが、多くの場合は第三者の仲介を必要とすると思います。
自ら「潜在的な買い手」を客付けした売り主からどの買い手に売るべきかのアドバイスをして欲しい、というようなときどのような付加価値が生まれるのでしょうか。アメリカではzillowが"make me move"のようなサービスを一時的に展開したのちにサービス停止しましたが、昨今の不動産仲介業界の訴訟祭りが終わった宴のあとに買い手側エージェント産業からの売上がなくなると、恐らくまた復活される気もします。