不動産を地図で検索する
恋愛と結婚が微妙に違うように、不動産を探すときと実際に住むときの微妙な違いはあるように思います。ただ、「周辺環境」が重要というのは不動産を探すときにも多くの人が感じているのではないでしょうか。
「不動産を地図で検索する」のはそうした「周辺環境」を知りたいニーズに最も適切に応えてくれると思います。
世界の不動産サイトで地図が一番かっこよいのは、フランスのbienici.comでしょうか。3D地図、物件の周辺情報、日陰機能(下記画像の左下)などなどが分かります。このサイトが必ずしも探しやすい気はしないのですが、bienici.comは不動産業者が集まって立ち上げたサービスということで、フランスの不動産業者の底力みたいのは感じます。
フランスのhabiteoを使うと地図情報と絡めた物件からの景色がわかるようです。
災害情報が最も良いのはtophap.comでしょうか。下記画像は災害情報の可視化ではないですが、雰囲気は伝わるかと思います。
Tophapが使っている地図サービスのmapbox(placeofでも使っています)のブログを見ると、howloud.comは騒音の可視化をしたりdeepblocks.comは建築規制の可視化をしたりと、色々な事例があることが分かります。日本では、東京の公共交通のリアルタイム状況がわかるMini Tokyo 3D やある地点から15分で行ける範囲がわかる15citiesなども面白いです。
日本では国土交通省がPlateau なるプロジェクトで新しい3D都市地図を作ろうとしています。災害やゲーム系の事例が多い印象ですが、不動産分野で面白そうな事例としては、「富士山が見える建物」マップとかでしょうか。
そのほかにも、日本ではハザードマップがAPI提供されており、国土地理院の地理院タイルも非常に充実しています。地理院タイルにあるような「年代別空中写真」「土地の条件(明治期の低湿地など)」は他の国ではあまり整備されていないように感じます。この辺に伊能忠敬以来の地図愛を感じざるを得ません。
一方で、地籍調査が明治以降あまり進んでいないことも印象的です。それは日本での土地開発主体が国家ではないことを示唆しているように感じます。日本では民間主体が各地でバラバラに開発をしてきた経緯から「道路」を見るとその土地の歴史が良く分かる気がします。
19世紀頃にハノーファー王国がガウスに三角測量を依頼したことでこの分野が著しく発達しましたが、誰がどのような地図データを欲しているか、もその土地の歴史なのかもしれません。そして、日本では、良好で豊富な地図を提供している地方自治体があった場合、恐らく公共財の提供が優れており、「周辺環境」は良い可能性があります。